やんばるアートフェスティバルの一番おもしろかった展示は
キュンチョメの「完璧なドーナツをつくる」でした。
旧塩屋小学校の一室、相談室で入口の導入部分などありつつ
ムービーをメインに見せる展示。
穴の開いたアメリカのドーナツと、沖縄の丸いドーナツ(=サータアンダギー)を
基地のフェンス越しに合体させて「完璧なドーナツ」を作りたい、っていうアイデアを
沖縄の人に話してどう思うかをムービーに撮ってまとめている。
一見何気なく見えるけど、たぶん2カメか3カメ回して撮影している丁寧な作り、
編集、そこに出てくる人達、話しの広げ方、
沖縄のアートフェスティバルで見せるという意味、
そしてもしかしたら一般的にそうだとされているような表面的なものでない、ハイセンスでスタイリッシュ感があって、
全てが完璧だった。これが今の現代アートのお手本なのでは、と思った。
もともと友達がこのアートフェスティバルの来場者に配るナビゲーター冊子の編集をしていて
プライベートでも行きたい、ということで誘ってくれたのが発端で、
その友達も一押しの展示ということで見たけど、だからべた褒めする訳では無い。
そのキュンチョメ作品のムービーに出て来たということで
帰りにこの博物館に寄ってきました。
博物館の方はオーナーのおじさんが長年かけて集めた骨董品の数々が見られて
こちらも面白いものだったけど、その隣にあった戦争資料館の写真を載せます。
戦争資料館はここ最近の1年半前(確かそれぐらい)に作ったものだそうです。
写真も限られているし、ここがどういうところだったかを短文で説明するのは難しいけど
爆弾やバズーカ砲、戦時中の服、食器、新聞、などありとあらゆる戦争に関するものが展示されている中に
キャラクター人形がひょっこりあったりとか、通常の博物館では味わえない感覚で、
いい意味で楽しく、興味を持ちながら見られるものでした。
びっくりするぐらい大きい爆弾が置いてある。
手前がバルカン砲。
この看板はオーナーの人の手作り。
二階の一番奥の部屋。資料写真が手にとって見やすいようにパウチされて並んでいた。棚は膨大な数のレコードで、カラオケセットが置いてありました。
二階の最初の部屋。
このガラスケースの中に戦争に行く人に無事帰ってきてくれることを願って渡す
千人針の布が何枚か入っていた。
通常一人につき一針しか縫うことが出来ないシステムだが、
「虎は荒野を行き、また戻って来ることができる強さがある」ので
虎年の人だけは年齢の数だけ縫うことが出来たため、
当時は虎年の人を血まなこになって探したそうです。
わたしは虎年なので、この解説を読んだとき、嬉しかった。
だけど、その後に思ったのは、これを見てそういう個人的な安直な感想を持ったことは、
わたしが平和ボケしている日本人の一人なんだという証拠だと思った。
日本の中では高等な教育を受けさせてもらって育ち、
自分のことしか考えてないやつは人間のクズだと思って生きてきたのに、
わたし自身もそういう一端を持っているんだろう。
視野を広く持ち、みんなが人間らしく生きていける社会にするにはどうしたらいいか考えることから始めたいと思う。
そのためにはまず自分が人間らしく生きないといけない。
これで今回の沖縄レポートは一旦終わりにしたいと思う。
最後に、やっぱりこういう旅に誘ってくれるいい友達がいることが、自分にとって何よりの財産なんだと思った。