撮影で関西方面へ行った関係で、万博へ行った。実は、わたしが生まれる前の万博に、まだ新婚だった両親が行った写真がアルバムに有り、彼らも平均寿命まで生きていたら行けたかもしれないので、自分が代わりにその地に足を踏み入れたい、という密かな願いを持っていた。
急遽予定を変更したので、猿沢池のほとりのスタバでホテルを予約した。有名なチェーンのビジネスホテルにしたところ、必要最低限でなかなかいいシステムだったけど、柔らかいベッドが苦手だからか、疲れていたからか、あまり寝れなかった。
翌朝、新大阪駅のコインロッカーに機材を入れ、地下鉄で夢洲へ移動。直前に決めたので12時入場のため、灼熱の中、入口ゲートに並ぶことになった。並び始めて20分程経った頃だろうか、昨日興福寺で買ったばかりでサコッシュに付けていた鹿のぬいぐるみチャームが無いことに気付いた。久しぶりにその可愛さに心を掴まれ、どうしても諦められずに買ったぬいぐるみだったので、過酷な状況で気持ちに追い討ちを掛けられた。近くに居た警備員に事情を話したが、警備員は落とし物を拾えないので、総合案内に行くよう言われた。一生懸命気持ちを立て直して、小1時間程並んで無事入場したが、無計画で来たため時間に余裕は無く、とにかく限られた条件の中で万博を見学することに徹した。
帰りに、ダメもとで総合案内に立ち寄ったところ、検索してヒットした写真データを見せてもらえたが惜しくも別物だった。ただ係員さんの対応は良く、だいぶ気持ちは救われた。その勢いで新大阪駅の忘れ物センターに立ち寄ったところ、なんと該当時刻に地下鉄で通過した森ノ宮駅に鹿のぬいぐるみが有るとのことだった。ただ、森ノ宮駅に戻るのは、直後に迫っている新幹線の時間からして無理。明日以降は難波の忘れ物センターへ送られるとのこと。今から東京へ帰る旨を説明すると、アプリで問い合わせするように案内された。
帰って来て、万博疲れに苛まれる中、幸運にも難波の忘れ物センターへ行ってくれる地元の友達が浮上。鹿の写真が送られて来た時は、信じられない気持ちだった。取りに行ってくれた友達にちなんで、鹿の名前はマユオにした。

失踪前のマユオ 奈良のホテルにて

奈良→大阪→京都→東京 と旅して来たマユオ